資格を取得したら、いよいよ本格的な職場探しをはじめましょう。まずはケアマネージャーがどんな職場(事業所、施設)で活躍できるのかを知っておく必要があります。
居宅 ……要介護者が自宅で生活できるよう支援すること
・居宅介護支援事業所
自宅で介護が必要な人のケアマネジメントを行う。訪問介護や訪問看護を行う居宅サービス事業所を兼ねていることが多い。利用者50名ごとにケアマネージャー1名の配置が義務付けられている施設
・在宅介護支援センター
在宅介護についての相談を受けたり、地域の高齢者の生活実態を把握する。介護サービス機関の支援や調整、連絡も行う
・その他
保健所、保健医療センターなどのほか、グループホーム、ケアハウス、福祉サービスを提供する民間企業などがある
施設 ……常に介護が必要な要介護者を専用の施設内でサポートすること
・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
常に介護が必要で、自宅で介護を受けることが難しい65歳以上の人に対して、日常生活の世話をする
・介護療養型医療施設
病状は安定しているが、常に介護が必要な人に対して、療養上の世話や看護、介護、自立するための機能訓練などを行う
・介護老人保健施設
病状は安定していて、入院する必要はないがリハビリテーションや介護・看護の必要とする人に日常生活の世話を行う
ケアマネージャーのための職場選び、7つのポイント
あなたの職場探しをサポートするために、以下に7つのチェック項目を設けました。
すべてクリアできるようなら、その職場はあなたにとってふさわしい場所といえます。いざ働きはじめて「こんなはずじゃなかった……」と後悔することもないはずです。
また、すでにケアマネージャーとして働いている人も、今の職場をチェックしてみるといいかもしれません。そして、もしひとつでもクリアできない項目があれば、転職という選択肢を考えてみてはどうでしょう?
せっかくケアマネージャーになったのですから、そのスキルを要介護者のために十二分に活かせる環境を見つけてください!
- 制度に則って、正しく運営されているか?
残念ながら、ルールに違反した運営がなされている事業所や施設も存在します。たとえば常勤ケアマネージャーを配置していなかったり、ケアマネージャー資格を持たない人がケアプランの作成を行っていたりして、指定取り消しを受けた事業所が報告されています。不正な職場は論外です。 - 専任or兼任……自分にあった働き方を選べるか?
居宅介護支援事業所は、在宅介護支援センターや訪問介護のサービスを併設していることがあります。そのため、ケアマネジメントをしながら併設サービスの仕事もこなしている兼務ケアマネージャーが数多くいます。もちろん自分の意志で兼務するのなら問題はありませんが、人手不足だからやむなく、というのは不健全です。 - 前職の専門性を活かせるか?
ケアマネージャーの資格取得には、特定の国家資格、医療や福祉などの現場での実務経験が求められます。その経験はあなたの強みであり、ケアマネージャーとして働き始めても活かしていきたいものです。 また事業所サイドでも、求人に際してその人が持っている資格や専門性を重視する傾向にあるようです。 - 行政や医療機関、地域社会との連係がしっかりと取れているか?
ケアマネージャーの仕事は決してひとりではできません。要介護者の主治医やヘルパーさんなどさまざまな職種間、また行政や地域に住む人々との間にしっかりとした協力体制が整っていれば、より充実したサービスが提供できます。 - 担当人数は適正か?
ひとりのケアマネージャーの標準担当件数は50人とされ、それ以上になると適切なケアマネジメントを実施できないといわれています。近年では担当件数をさらに見直し、ケアマネージャーの負担を減らしてサービスの質の向上を目指す傾向です。 - 公正・中立性が確保されているか?
母体となる組織の事業展開や経営上の問題から、併設のサービス業者や施設を利用するように利用者に勧めることが暗黙のルールになっていることがあります。そこにケアマネージャーの大原則である公正・中立の意識はありません。もともとケアプランは利用者を主体にすべきで、事業所の営利目的を優先すべきではありません。 - 真に利用者のことを考えて運営されている事業所、施設か?
多少労働条件が悪くても、その事業所が真に利用者のことを考えて運営されていれば働きやすいし、仕事へのやりがいを実感できるものです。実際にその職場で働いている人の声や利用者の評判をヒアリングしてみるといいでしょう。